理事長挨拶
Junior Chamber International Fukuoka

一般社団法人 福岡青年会議所
2018年度理事長所信

理事長 田島 敬悟

前へ


 「長い人生だから数多くの障害にぶつかるだろう。かわすことによって避けられる障害ならいい。しかし、本当に大きくて深刻な問題と直面した時は、体当たりで乗り越えていくしかない。とにかく前へ、ためらわずに〝前へ″進め。それはつらく長い道のりかもしれないが、成功への最も近い道である。失敗することが負けることではない負けるときは諦めたときである。」これは明治大学ラグビー部元監督北島忠治氏の言葉です。
私たちも日々の生活の中で、JC活動の中で、障害にぶつかる時があるのではないでしょうか。そんなとき、人は往々にして後ろ向きの考えを持ってしまうものです。前へ進むためにはそれなりのリスク、労力、勇気が必要になります。私もJC活動の中で二度、深刻な問題と直面しました。それは理事選挙に立候補する時と理事長選挙に立候補した時です。二度とも、果たして私がその役職を全うできるのか、失敗を恐れ、保身を考え、現実から逃避しようとしていました。その度にこの
「前へ」という言葉を思い出してきました。そして、その時には必ず、共に活動してきた仲間が大丈夫と背中を押してくれました。
一歩でもいい。前へ進むことで人は成長し、道が開かれるのです。混沌とした時代の中で創設された青年会議所。先人たちはそのような中であっても、常に前へ進んできたからこそ、65年の時を繋ぐことができたのではないでしょうか。

歴史を振り返り新たな歴史を刻む


 1953年2月4日祖国日本の復興を目指し、戦後の荒廃した国土の再建の担い手は、自分たち青年以外にいないという激しい使命感をもって、福岡青年会議所が設立され2018年で65周年を迎えます。
先人たちによる熱い情熱と勇気が脈々と紡がれて、今日の福岡青年会議所があるのです。心の支えとなったのは、郷土である福岡のまちをよりよくしようという確固たる信念と崇高なる志であり、そして仲間との信頼関係です。
また、本年はアジア太平洋こども会議30周年、中洲JAZZ10周年と、我々の先輩が立ち上げ、人々に愛され、地域社会に深く根を張り、今なお輝き続ける数多くの事業も節目の年を迎えます。このように、先人たちの確固たる信念や崇高なる志は、現在まで脈々と受け継がれ、いつの時代においても、メンバーが団結し、力強く歩むための活力となっています。
メンバーに必要なことは、歴史を知り、伝統を守り、次世代に繋いでいくことです。すなわち、新たな未来を築くためには、過去の偉大な事業に触れ、先人の想いと経験を吸収し、前へ向かうための新たな創造への糧とすることが求められているのです。
地域のリーダーとして、次世代のリーダーとして、先人から受け継いできた独立自尊の矜持を胸に、常に挑戦し続けなければなりません。
次の5年に向けて、さらなる未来に向けて、「前へ」。

ひと・イノベーション


 隣国との経済・軍事力問題など不安定要素を増す国際情勢、50年後には人口が約8,000万人台になると予測され、人口減少という現実から逃れられない状況の中、我が国が引き続き繁栄していくためには、イノベーションの創出を通じて経済競争力を強化することが必要不可欠です。他方で、AI(人工知能)、IoT、ビックデータ、ロボットテクノロジーに代表される第4次産業革命の急速な進展に伴い、我々の生活や仕事に関わるすべてにおいて急速な変化がおこっています。
そのような背景の中、2020年には小学校でプログラミング教育が必修化されます。さらには、こどもたちの科学技術への理解促進・科学技術リテラシー向上を図ることで、長期的でグローバルな舞台でのイノベーションを起こすことができる人材を増やす目的としてSTEM教育(Science:科学Technology:技術、Engineering:工学Mathematics:数学)が注目されています。
我が国の経済は、ものづくり分野における強い競争力によって支えられていることは言うまでもありません。しかし、近年、こどもたちが実際にものをつくるという体験が減少しているとの指摘があります。ものづくりの重要性については、「単に作り手としてものをつくる技術を習得するという観点だけではなく、むしろ緻密さへのこだわりや忍耐強さ、ものの美しさを大切にする感性、持続可能な社会の構築へとつながる『もったいない』という我が国の伝統的な考え方のほか、ものづくりで大切なチームワークや自発的に工夫や改善に取り組む態度も重要である」と考えられています。
だからこそ、日本の将来を考えるとき、科学技術の普及と進歩が日本を支える鍵になると考えます。そして、科学にはこどもたちに夢を与え、探求心を芽生えさせる力があります。将来のFUKUOKAを担うこどもたちに、科学という力を使って様々な可能性を提供する機会を創出したいと考えます。
2014年、福岡市は国家戦略特区に選定され、昨年には大名小跡を利用した「growth next」が設立され、官民が連携した試みが注目を集めています。福岡は、都市の魅力や寛容度面でも評価が高く、我が国の都市において最もスタートアップを生み出す素地が整っている都市ではないかと思います。従来、福岡は支店経済のまち、製造業の産業集積がみられない等の弱点が指摘されていましたが、経済を引率する産業が製造業からIT産業をはじめとするサービス業に変わりつつある中、東京・大阪・名古屋に続く第4の核として期待されています。またアメリカのポートランドやシアトルのように、まちの魅力が優秀な人材を引きつける環境が福岡にはあると考えます。我々、福岡市民が自分たちの住むこのまちをどのようなまちにしたいのかという意識を明確に持ち、優秀な人材が福岡に集まることは、福岡にとってプラスになると考えます。
また、世間では最近の若者のことを、悟り世代という言葉で形容されることもあるようです。その意味は、無駄な努力や衝突は避け、合理性を重視する傾向があるということですが、実際はどうなのでしょうか。バブル期を経験された方は向上心や自己開発欲があるように感じられますが、昨今のアベノミクスや東京オリンピック効果で景気回復の傾向がみられており、若者の意識の変化が始まろうとしているように感じます。
現に、九州大学にはすでに起業部が存在し、100名を超す部員が在籍しているそうです。希望に満ち溢れる若者と我々Jayceeの持つ情熱と経験を掛け合わせると、素晴らしい相乗効果が期待できるのではないでしょうか。さらに、我々JCは国内のみに留まらず、グローバルなネットワークを持っています。このような国内外のネットワークも駆使することによって、さらなる相乗効果により、より一層の深みと可能性を秘めたことを成し遂げることが出来るのではないかと考えます。そして、いつの日か彼らがJayceeとして活躍してくれるように導いていきます。

まち・リノベーション


 福岡には「世界有数の都市機能」「豊かな食文化」「世界に誇る祭りと活気」「恵まれた自然と生活環境」といった魅力があります。アジアからの観光客増加もあり、年間1,900万人を超える方々が来福しています。これからの福岡の経済を考えたとき、このことが非常に重要な要素になります。2019年、世界三大スポーツイベントであるラグビーワールドカップが、アジア初となる日本で開催されることが決定し、福岡市のレベルファイブスタジアムは、同大会の試合会場に選ばれています。さらに2020年には東京オリンピックが開催され、2021年には世界水泳選手権が福岡で開催されます。メガスポーツのイベント開催時には国内外から多くの観光客が訪れ、交流人口が増加し、それに伴い大きな経済波及効果が生まれます。この点、福岡はよく観光スポットがないと言われますが、外国から多くの観光客が訪問することが期待される時期だからこそ、福岡がより多くの観光客を取り込むため、「スポーツ×観光」、スポーツツーリズムの発展を重要視すべきであると考えます。
昨年、福岡JC・つくしJCが主体となって「DreamRugby福岡」を発足させ、ニュージーランドのオークランド代表を招待して親善試合をおこないました。これは我々JCが架け橋として行政、地元財界、ラグビー協会を繋いだことで実現することができた事業です。まちを想い、ネットワークを駆使して、情熱を持って行動することで夢を実現する。これこそがJCの力です。本年度も昨年度からの関係を受け継ぎ、2019年オールブラックスが福岡に訪れる機運を高めていきます。我々福岡JCが積極的に福岡で開催されるラグビーワールドカップに関わり、盛り上げることで、福岡のまちを世界中へPRする絶好の機会であり、これを最大限に活用することは大切なことであると確信しております。
2010年に我々が考える福岡の明るい未来の形として「アジア交流首都宣言」を、2013年に交流を目的とした「スタジアムパーク構想」を、2016年に福岡の新しいライフスタイルの提案として「GrandDesignFUKUOKA」を発表しました。過去7年の間に3度、FUKUOKAの未来を提言してきました。
本年度はこれまで提言した内容に、より具体性を持たせた実現可能な未来のFUKUOKAのカタチを提案致します。
文化は人々の暮らしを豊かにし、感動や安らぎをもたらします。また人間と自然との関わりや風土の中で生まれ、地域特有の発展をしています。それゆえ文化こそ、独自の地域性を表す重要なファクターです。しかしながら昨今、伝統芸能や伝統工芸といった昔から引き継がれた文化が衰退しているように感じます。それは日々のライフスタイル変化に伴う需要の減少や中心的存在の高齢化、担い手の不足など様々な要因が考えられます。もっと文化の持つ意味や歴史といった重要性と魅力を、JCらしい手法を用いて発信していきます。我々の展開する事業を通して若者たちが文化の魅力に気付き、福岡を中心に九州各地の伝統を持つ文化が益々発展していくことを望みます。

福岡JCの自覚と誇り、そして未来に想うこと


 私たちの想いは、地域だけに留まるものではなく、広く世界に発信することも可能であり、逆に世界的視野でこの地域を見つめることも可能です。その可能性に目をつむり、小さな視野のみで物事を捉えることは、成長の機会喪失以外のなにものでもありません。ですから、様々なことを機会(チャンス)として、取り入れていきます。
メンバーには、是非とも広い視野を持ち、福岡だけが良くなることを考えるのではなく、福岡県、九州、そして日本、世界と幅広く物事を捉えていただきたいと考えます。
本年度は、ASPAC鹿児島大会、全国会員大会が宮崎で開催され、福岡でも伝統ある日本JCじゃがいもクラブ全日本選手権大会を開催致します。九州地区が全国から注目を浴びる年となり、我々九州のキャピタルJCである福岡JCがどのような活動をおこなうのかが注目されています。そのような中、我々は、責任と誇りを持って、九州の仲間たちと一体となって各種大会を盛り上あげていく必要があります。
1989年全国会員大会、2004年世界会議、2009年九州地区大会を福岡JCは主管しました。その中で生まれる成長の機会は、様々な経験としてLOMの力となり、多くの傑出したリーダーを生み出し、仲間が熱い議論を交わすことで更なる進化を遂げてきました。そして各種大会を通して地域の活性化と市民意識の変革を実現することができました。しかしながら、すでに2004年の世界会議を経験したメンバーの在籍はなく、先輩方の経験談を聞くことしかできません。
それに加え、昨今福岡JCは委員会の枠に納まりすぎている様に感じます。それは、委員会の枠を超え、LOMが1つにまとまる機会がないからではないでしょうか。
では、どのような時に大会招致の産声が上がるのでしょうか。それは高い志と熱い情熱そして何かに挑もうとするチャレンジ精神を持ったメンバーが集まり、一人、また一人とその熱い想いを語り出すようになった時に、大きなウネリとなり新しい時代が動き始めるのではないでしょうか。
是非、ASPACや全国大会に多くのメンバーで参加、参画していき、大会の意味と意義を体感した上でこれからの福岡JCを考えていけるような機会にしていただきたい。

福岡JCの価値


 我々JCは地域の社会問題を抽出し、企画立案し、実行する団体です。しかしながら、我々の運動が市民にどのように届いているのでしょうか。65年という歴史でおこなってきた事業がどのくらい地域に浸透しているのでしょうか。福岡JCのアイデンティティーが認められていれば、そもそも拡大やブランディングを考える必要はないのですが、拡大活動をしなければ会員の増加がみられず、ブランディングを考えなければ福岡JCの価値を認識してもらえないというのが現状です。まずは福岡JCの存在をもっと多くの福岡市民に知っていただき、活動内容を理解していただく必要があります。そのためには、我々ひとり一人が、自らの団体について理解し、考え、伝えていかなければならないのです。他の団体と異なり、40歳で卒業し陳代謝を繰り返す年齢制限を有する団体である福岡JCだからこそ、組織規模の維持さらには増強をはかるためにも、会員拡大活動は最重要課題となっているのです。福岡のまちにとって福岡JCという団体が唯一無二の存在となるべく、活動してまいりましょう。
そして、会員拡大がLOMの活性化につながり、その大きな力をもって九州をひっぱるリーディングLOMとして、明るい九州の創造につなげていきましょう。

強いJCと品格あるJaycee


 まず、青年会議所は人間を磨く学び舎です。決して馴れ合いの調和を求めるだけでなく、人間同士がぶつかり合いながら切磋琢磨していくことで人間力は養われ、ひいては「強いJC」を作り上げることができるのです。
しかし、今、横のつながりが希薄になっているように感じられます。「己のことを顧みず、人のために自分ごととして行動する」、これこそがまさにJayceeの本質であり、それによって確固たる絆を育み、強固なJCの組織を作ってきました。我々は青年であり、人としては未熟な存在です。滾る人間力を爆発させ、刺激的で感動的な人生の時間を共有し、強いJCを作っていきましょう。我々が福岡のまちのリーダーとなり背中を見せるためにも、メンバーは品格と高い意識を持ち、物事を揶揄する前に、己の襟を正して恰好いいJayceeとして日々の生活を送っていただくことを望みます。

結びに


 福岡をもっと魅力ある夢を描けるまちにし、福岡JCをもっと発信力のある強い団体にしたい。メンバー各々が、もっと家庭で家族、職場で社員から愛され、地域社会に貢献できる人間に育てたいと考えます。そして福岡JCがまちのリーダーとして、まちの憧れの存在となるべく行動しましょう。
今、福岡のまちも我々も変革の時を迎えています。その中心にいるのは、活気あふれる青年経済人の集いである我々福岡JCです。まちの未来を思い描いて無限の価値を生み出す変革に挑戦していきましょう。
そして我々JCが活動している背景には家庭や職場の方々の理解があることを忘れることなく、常に感謝の気持ちを持って、愛する地域のため、愛する家族のため、愛する仲間のために、前へ。